新卒採用向けセミナー エンプロイヤーブランディング ~職場をブランド化していく方法~
2015.02.06
景気の回復により、新卒採用市場はこれまでの買い手市場から一転して売り手市場へ変化しています。
優秀な人材の確保が難しくなっている現状を踏まえ、企業各社が採用手法を凝らし給与・待遇などでも差別化に着手する中、「働く環境」を重視し、その会社で働く事から得られる「プラスアルファ」を期待感として、学生に志望動機付けする「エンプロイヤーブランディング」「採用ブランディング」がトレンドになっています。
そんな人事採用の環境が非常に大きく変化する中で、個性的な採用戦略、ブランド戦略を取られている株式会社はてな様とエバーノート株式会社様にお話をお伺いしました。
第1部では、株式会社はてなでマーケティング・広報を担当されている山田 聖裕(ヤマダ キヨヒロ)氏を、続いて第2部ではエバーノート株式会社から上野 美香(ウエノ ミカ)氏をお迎えし、各社ともにどのような取り組みをされているのか、今回は二部構成にてセミナーを開催いたしました。
「働きたい」と思ってもらう企業ブランティングについて/株式会社はてな
――「働きたい」と思ってもらう会社になるにはどうしたらいいのか?
あくまでもはてなとしての回答でしかありませんが、我々が常に気をつけていることは、主に「働きやすさ」と「働きがい」を重視することです、と山田氏は言う。
「働きやすさ」においては、充実した福利厚生はもちろん、自転車通勤の推奨に毎日無料のオフィスランチ、TGIF(花金)の実施に昼寝の推奨(眠いのを我慢して仕事をしても全然効果的でない)といった社内制度を重要視。
続いて「働きがい」という点においては、社員の自主性と創造性を重視(サービス開発合宿)、イベント登壇(情報発信・個人のスキルアップ)、セミナー参加(出張補助)といった社員の自主性によるスキルアップのフォローといったことを重要視しているようだ。
スキルアップや対外的に評価される活動を推奨することは、会社としての生産性向上にもつながる、と山田氏。
「働きたいと思ってもらえる会社として、はてなは『環境としての働きやすさ+制度としての働きがい』を強力にバックアップしています」
また企業ブランティングについては、「自社のユニークな部分を理解し、発信していく」ことにあると言う。
自社のユニークな部分とは何か?
それは自社製品やサービス、福利厚生、社員、といった自社分析と世の中で注目されていることをかけ合わせたものである、就活生で言えば、自己分析や自己PRに該当するといったところでしょうか、と山田氏。
Evernote の新しい働きかたと企業カルチャー/エバーノート株式会社
一方で、Evernoteはというと、やはりフリーランチやワークフロムホーム(在宅勤務など働く場の制限をしない)といった福利厚生制度の充実ぶりや、個人や自社の考えを積極的に発信していくことが、会社の取り組みとして強調されている。
「社員が積極的に個人としてメディアへ露出し、その人の考え方やEvernoteに入った理由として会社の思想や理念など共感すること、そういったことをどんどん発信するようにしています」と上野氏は言う。
株式会社はてなの山田氏は、企業ブランティングについて「自社のユニークな部分を理解し、発信していくこと」と言っていました。
個性的な戦略でもって成り立っている環境や新しい取り組みを、情報として発信していくこと――この点において、両社はともに共通している。
ではEvernoteのユニークな部分とは?
Evernoteの思想・理念にもとづいた企業文化
Evernoteはビジネスモデルがユニークで、従来のマーケティング手法と違う部分は、基本的に無料でサービスを提供できるところにある。そこも株式会社はてなと同じで、広告はうたずとも、口コミでブランドを作ってきた。
Remember everything ―みなさんの脳に代わってすべてを記憶する
記憶をすることには限界がある、だからそれは我々に任せて、いま自分のやるべきところ、考えたいところ、そこに集中してください、そのためのサービスを作ります。
Evernoteは、そういった理念に支えられています、と上野氏。
次に企業文化について上野氏は以下の3点をあげ説明する。
働く環境
考え方
仕事のしかた
「オフィスの内装、福利厚生制度といった面でよく取材されますが、企業文化は働く人の考え方や仕事のしかたなど、オフィスにあらわれている雰囲気は、人がカタチ作っているものが非常に多いのではないか? というのがEvernoteの考え方です」
そういった企業文化をカタチ作る理念のもと、自分も欲しくなるような良い製品を作る、そしてユーザーの利益になるサービス(広告をしないなど)をEvernoteは提供する。
「どんな製品にも、会社の文化が映り込む」
製品を見れば、その会社の企業文化がわかる、という前提で「働く環境と思想にもとづいた」製品を提供しています、と上野氏。
「また効率的な働き方のモデルとして、Evernoteを初めとしたデジタルツールを駆使しての新しいワークスペースの構築、デスクの上にはラップトップにスキャナ、バッグの中にはシゴト道具が全部が詰め込まれていて、バッグひとつで移動オフィスになります、といったイメージ、どこでもシゴトができるようになる、そんなビジネス環境を提案しています」
上野氏はそう言い、社員一人ひとりが新しいことにチャレンジしていくマインドを常に意識しています、と続ける。
インタビューやイベントなどにもたくさん参加し、そういった場で積極的にEvernoteの思想・理念にもとづいた企業文化や社員の個人の考え方などを、どんどん発信しています。
そしてそのような場では多くの方と出会えるため、いつでも 「We are hiring! (人材募集)」 とプリントされているTシャツを着れるようにし、そういった場所でもどこでも「採用する場」としています。
事業内容、成長の可能性、カルチャー、一緒に働く仲間など、今まで伝えきれていなかった自社の魅力(ブランド)を振り返っていただく場を提供したいと考えて開催したセミナー「エンプロイヤーブランディング ~職場をブランド化していく方法~」。
はてな様、エバーノート様ともに、学生をひきつける魅力のある企業がどんなことをやっているのか、これからの日本企業に必要とされるもとはどんなものなのか? 福利厚生、職場環境、給与水準、そしてワークライフバランスなど、ブランディングするうえで必要になってくることをご紹介していただきました。
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山田 聖裕(ヤマダ キヨヒロ)氏
株式会社はてな
1982年、福岡生まれ。2005年に株式会社はてな入社。「はてなブックマーク」「はてなブログ」などのサービスやコーポレートのマーケティング・広報を担当。2011年より営業部を兼任し、ソーシャルに拡散される広告企画のプランニング・ディレクションにも携わる。
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上野 美香(ウエノ ミカ)氏
エバーノート株式会社
2011年より Evernote 日本法人にてマーケティングおよび広報を担当。日本オフィスの立ち上げ、Evernote ユーザーコミュニティの醸成、広告に頼らないマーケティングを通し日本市場での認知拡大、ユーザー数増加に貢献する。インターネットコミュニティに造詣が深く、ソーシャルメディア上でも積極的な情報発信を行う。
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日時 12月9日(火)
会場 株式会社アイデム本社ビル3F
主催 株式会社アイデム JOBRASS運営事務局