これからの人材活用 働く側からみた理想の会社/(人と仕事研究所/コラム)

2014.04.04


 

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弊社「アイデム 人と仕事研究所」のホームページでは、人材の戦力化や企業力の向上などに役立てていただくために、企業の事例取材記事や専門家によるコラム、アンケートデータなどを掲載しています。
今回は「働く側からみた理想の会社/田中和彦氏」から、その内容の一部をご紹介させていただきます。

――人材活用を考える上でのヒントになれば幸いです。

 

 
これからの人材活用
働く側からみた理想の会社/田中和彦氏

朝日新聞土曜版「be」で、コラム『はたらく気持ち』を連載する田中和彦さんは、大手求人情報誌の編集長を経て、現在は人材コンサルタント業を中心に活動しています。「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに年間100以上の講演も行っている田中さんに、働く側からみた理想の会社について述べていただきます。

 

なぜボロい社屋の町工場に人が集まったのか?

私が就職情報誌の編集長をしていたころの話です。ちょうどバブル景気の終わりのタイミングで、ビリヤード台のあるプールバー付き豪華社員寮がメディアに登場し、都心にあるオシャレなオフィス、充実した福利厚生制度、高給与にブランド力のある社名など、人が集まる企業の条件が話題になっていました。

そんな中、下町の町工場が人手不足に窮し、背に腹は代えられないと、高い広告費を出して、求人広告を発注してくれました。町工場の社長の気持ちに応えなければと、私たちも真剣に広告作りに力を注いだのです。

求人広告が掲載された当日、心配する営業マンが状況を尋ねると、社長は、「問い合わせの電話が入ってきてるよ。それも真面目に就職先として考えてくれてるんだ」と、喜んでいるではありませんか。その後、応募者全員と面接を行い、2人の採用予定だったのに、「結果的にどうしても絞り切れずに3人採用してしまった」と、苦笑いしていました。

コピーライターが考え抜いた広告のキャッチコピーは、次のようなものでした。

「社屋はボロい。最寄りの駅から歩いて15分はかかる。給料は決して高いとは言えない。仕事もそれなりにきつい。でも、社内はいつも笑顔であふれている。そして、未経験でも立派な一人前に鍛えたいという熱い想いのオヤジ社長があなたを待っている」

写真には、本当にうそ偽りなくボロい社屋の前で、満面の笑みの従業員といかにも人情家のオヤジさん風の社長が写っていました。お世辞にも洗練されたビジュアルとは言えません。
しかし、数は多くなかったものの、この広告に魅せられた志望動機の明確な人が応募してくれたのです。待遇的な条件よりも、温かい人間関係の中で自分を真剣に育ててほしいという、熱い想いを持った応募者たちだったと聞きました。

 

広告ではなく、「狭告」が働き手の気持ちに刺さる

実はこの広告の手法は、過去に代表的なものがありました。誰にでも来てほしいわけではなく、本当に来てほしい人に届くための「相手を選ぶ」広告です。
19世紀にアイルランドで生まれた冒険家アーネスト・ヘンリー・シャクルトン(※)が、南極探検の同志を集めるために出した有名な募集広告が、まさに「相手を選ぶ」ものでした。

※シャクルトンは、危機的状況下のリーダーシップモデルとして知られている。1914年、シャクルトン率いる南極横断隊は南極大陸に向かった。だが、航海の途上で遭難し、氷海で孤立無援となる。そんな中、シャクルトンは類いまれなリーダーシップを発揮し、隊員全員を奇跡の生還へ導く。

 
<募集広告・原文>
MEN WANTED for Hazardous Journey.
Small wages, bitter cold, long months of complete darkness, constant danger, safe return doubtful.
Honor and recognition in case of success.
Ernest Shackleton

 
<和訳>
求む男子。至難の旅。
僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証無し。
成功の暁には名誉と賞賛を得る。
アーネスト・シャクルトン

  
アイデム 人と仕事研究所「これからの人材活用」
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